11月13日YAMAHAホール公演によせて
今年の五月十二日に最愛の妹(広瀬)悠子が七十一歳でこの世を去った。そして二十日に弟英司、息子ヤンネとともに野辺の送りを済ませた。その日ヤマハホールで予定されていた演奏会はキャンセルされ、本日に変更されたわけである。突然の中止と変更で皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びしたい。
昨年十一月十日、私が喜寿を迎えた日に終わった「左手の音楽祭」。全十六回のコンサートでは多くの優れた新曲が生まれ、意義ある成果を収めることが出来た。
その落穂拾いは七十八歳を迎えて催される。妹が「落穂拾いは秋になってからがいいよ。五月では早すぎる。ゆっくりとしてね」と云ってくれたような気がする。
いつまでも「若くてお元気ですね」とは云われたくないし、百歳で「恋する男たち」を演奏して女どもをどきどきさせたいとも思わなくなったが、命の尽きるまでは弾いていたいと思うのだ。
舘野泉